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賃貸経営におけるインボイス制度の影響

こんにちは、PM事業部の関場淳介です。
消費税10%への引き上げに伴い、2023年(令和5年)10月1日より、インボイス制度が導入されることになりました。
今回は、インボイス制度の導入により、不動産賃貸業にどのような影響を与えるのかについてご紹介いたします。

■インボイス制度とは

インボイス制度とは、2023年10月1日から導入される消費税に関する新しい制度で、ひと言でいえば「消費税の適正な仕入税額控除を行うための制度」です。
そのために必須となるのが「インボイス(=適格請求書)」です。
インボイスは、売り手(受注側)が買い手(発注側)に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、定められた事項が記載されている請求書や納品書、その他これらに類する書類をいいます。
免税事業者のオーナー様は、仕組みを理解してインボイス制度の対策を早めに検討しましょう。

【インボイスの条件】
[1] 適格請求書発行事業者が発行している
[2] 適格請求書保存方式で定められた記載事項が含まれている

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
④税率ごとに合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
⑤消費税額等(端数処理は一請求書あたり、税率ごとに1回ずつ)
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
(注)適格簡易請求書の記載事項は上記①から⑤となり(ただし、「適用税率」「消費税率等」はいずれか一方の記載で足ります。)、上記⑥の「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」は記載不要です。

■インボイスの対応区分

物件種類 オーナーの状況 対策
住宅の家賃収入のみ 消費税は非課税 インボイス対策の必要なし
事務所・店舗等の家賃収入あり&テナント(賃借人)が免税事業者 免税事業者 インボイス対策の必要なし
事務所・店舗等の家賃収入あり&テナント(賃借人)が課税事業者 免税事業者 インボイス対策を検討
事務所・店舗等の家賃収入あり 課税事業者 インボイス発行事業者の登録を必要とする

■賃貸経営に影響を及ぼす可能性のあるポイント

「競争力が低下する」
オーナーが免税事業者の場合、「適格請求書(インボイス)」を発行できないので、テナント(借主)は家賃にかかる消費税を仕入 税額控除できません。
すると、借主は消費税の負担額が増えてしまい、利益が減ります。その結果、借主の動きとして次のような行動が想定されます。
\"消費税分を家賃から減額してほしいと交渉する\"、\"「適格請求書」を発行してもらえる物件に移転する。
\"家賃が同じであっても、借主の実質的な負担額に差が出てしまうため、大家さんが免税事業者の場合はライバル物件と比べて競争力 が低下してしまうことになります。

「法人化による節税効果が薄まることがある」
賃貸経営の定番の節税策である「法人化」とは、オーナーご自身が代表となる資産管理会社を設立する方法です。
法人化では、資産管理会社に不動産の所有権を移す方式もありますが、資産管理会社に物件を売却せずに、オーナーが所有する不動産の管理を資産管理会社に委託して管理料を支払う方式があります。
このとき、オーナー(個人)が消費税の課税事業者で資産管理会社が免税事業者の場合には、管理料にかかる消費税についてオーナーは仕入税額控除を行えるが、資産管理会社側は消費税の納税義務がない、という一石二鳥のやり方が可能でした。
ところがインボイス制度が導入されると、免税事業者の資産管理会社からの請求書ではオーナーは仕入税額控除が受けられないので、節税効果が薄まってしまいます。

インボイス発行事業者(課税事業者)となることによる有利・不利を想定し、十分な検討が必要です。
今般の改正が納税額にどの程度の影響を与えるのか、今のうちから試算を行い適格請求書発行事業者としての登録をするべきかどうか検討していきましょう。

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記事の更新日:2022/10/20

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